自然素材と機能性のいいとこ取りを考える
近年、自然素材として人気が高まっている無垢材のフローリング。素足で歩いたときの心地よさや、木の香り、経年による味わいなど、合板フローリングにはない魅力がありますよね。一方で、気になるのがお手入れの大変さ。
「せっかくの無垢材、きれいに保ちたいけど、フロアコーティングってできるのかな?」
という疑問を持たれる方も多いはず。
今回は、無垢材とフロアコーティングの相性や注意点、施工の可否について詳しくお話しします。
そもそも無垢材ってどんな素材?
無垢材は、丸太から切り出した自然の木そのもの。
合板のように接着剤や化学処理を施さず、一本の木からそのまま切り出されるため、木の質感や香り、湿度調整の機能が高いのが特徴です。
しかしその分、水や湿気に弱い・傷つきやすい・反りやすいといった弱点も持ち合わせています。
無垢材にフロアコーティングはできる?
結論から言うと、無垢材にもフロアコーティングは可能です。
ただし、施工にはいくつかの注意点があります。

1.コーティング剤の種類を選ぶ必要がある
無垢材は呼吸する素材です。そのため、密閉性の高いUVコーティングや硬質なガラスコーティングは、相性が悪い場合も。
無垢材には、ガラス系のコーティング(メイプル社ではプライムコートという商品にあたります)を推奨しています。
2.木の動きに追従する柔軟性が必要
無垢材は湿度や気温で膨張・収縮するため、それに耐えうる柔軟なコーティングでないとひび割れや剥がれが起きる可能性も。
3.オイル塗装やワックスがされていると密着しづらい
既にオイル仕上げやワックス仕上げが施されている場合、コーティング剤が密着しにくく、うまく施工できないケースがあります。
そのため、施工前に表面処理(剥離作業)が必要になることも。
無垢材にコーティングするメリット
無垢材の魅力を活かしつつ、フロアコーティングをすることで得られるメリットは意外と多くあります。特に「住みはじめてからの後悔を減らす」という点で、大きな意味があります。

1.水や汚れに強くなり、日々の掃除がぐっとラクに
無垢材は水分を吸収しやすく、水をこぼしただけでもシミになったり、変色してしまうことがあります。コーヒー、ジュース、醤油などが染み込むと、なかなか落ちず跡が残ることも。
フロアコーティングを施しておけば、表面に防水膜ができるため、さっと拭くだけでOK。「うっかり汚してしまった!」という場面でも、慌てずに対応できます。
特にキッチンやダイニングまわり、子ども部屋、ペットとの共生スペースなど、水気や汚れの多い場所では効果を実感しやすいです。

2.傷がつきにくく、美しさが長持ち
無垢材はやわらかく、ちょっとしたことで傷がつきやすい素材です。
たとえば…
椅子を引いたときの擦れ
おもちゃを落としたときのへこみ
ペットの爪跡や走り回ったときの擦り傷
こうした日常のちょっとした衝撃や摩擦で、いつのまにか床が傷だらけになることも。コーティングをしておけば、表面に保護層ができるため、衝撃を緩和し、摩耗を防ぐことができます。
結果的に、木の美しさを長く保つことができるのです。
3.紫外線による日焼け・変色を抑えられる
実は、直射日光や紫外線によって、無垢材は少しずつ色が変わっていきます。
窓際だけ日焼けしてしまい、数年後にラグをどけると「元の色と全然違う…」なんてことも。フロアコーティングには、UVカット機能を持つものもあり、紫外線による退色や日焼けを抑える効果があります。
長く暮らしていくうえで、「ムラのない見た目を維持したい」という方には大きなメリットです。
4.素足の生活も快適に。ささくれ・毛羽立ちを防げる
無垢材の床は肌ざわりがよく、素足で歩くのが気持ちいいという声も多いです。
ただ、表面が乾燥して毛羽立ってきたり、ささくれができることもあり、特にお子さんや高齢の方がいるご家庭では心配の種に。
フロアコーティングで表面を滑らかに整えておけば、足裏への違和感やケガのリスクを軽減できます。さらに、ホコリがつきにくく、掃除もしやすくなるという副次的な効果も。

5.ワックス不要。日々のメンテナンスコストも削減
無垢材の床は、定期的にワックスがけやオイル塗装のメンテナンスが必要ですが、フロアコーティングをしておけば、基本的に数年単位でメンテナンスフリーになります。
つまり、
ワックスを買う手間・費用がかからない
塗り直す手間も不要
時間も節約できる
という、日々の負担を大幅に減らす効果があるのです。
6.ペットや子どもとの生活に安心感をプラス
フロアコーティングには、滑り止め効果のあるタイプもあります。
そのため、ペットの足腰への負担や、お子さんの転倒リスクを減らすことも可能です。
無垢材本来の風合いを大切にしながら、家族の安全性や暮らしやすさを高められるのは、コーティングならではの強みといえます。

ただし、無垢材らしさはどうしても少し変わる
コーティングを施すと、表面に膜ができることで、無垢材特有の「素足の感触」や「呼吸する木の質感」は多少なりとも損なわれます。
また、ツヤが出るため、マットな木肌を好む方には違和感があるかもしれません。
「無垢の風合いを最大限残しつつ、最低限の保護だけしたい」という方には、浸透性の保護剤やオイル系の自然塗料を選ぶのも一つの手です。